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コンシェルジュコラム
鍼灸なかだ治療院の症例報告 ケース②:産後の体力低下と抵抗力の低下
おはようございます。金沢市松村1丁目の【鍼灸なかだ治療院】の中田 和宏です。
「鍼灸なかだ治療院の症例報告」というテーマで、コラムを連載しております。(今までのコラム↓)
今回は、産後の体力低下と抵抗力の低下についての症例報告です。
ケース②:産後の体力低下と抵抗力の低下
古くから鍼灸治療、特にお灸は病気の治療だけでなく健康保持増進として庶民の強い味方でした。
明治以降、現在に至るまで様々なお灸に関する研究がされてきています。お灸をすえることで免疫を強くする白血球や抗体の産生が増加します。結果、感染症にかかりにくくなると言われているのはそういった研究の成果の一つです。
アフリカで結核予防にお灸を足の三里にしているって知ってましたか?
よくお灸をすると白血球が増えるって言われますが、白血球が増えすぎるとそれは白血病なんで、コトバに注意です。正しくはほどよく増える。
この辺のあいまいな結論が現代の医学研究としては相容れないのかもしれません。要するに低下しているものは増え、増えすぎているものは減少する傾向になるのが鍼灸治療の面白いところです。
結果として増加も低下もしない真ん中へんによっちゃうもんだから効果がないとみなされることになるんです。患者さんは調子が良くなったって喜んでるんですが。
スッキリしない体調、子供の風邪がうつってしまう・・・
さて、今回のケースは38歳のお母さん(Aさん)。
3年前の出産後から体調が思わしくなく、加えてお子さんが幼稚園に行くようになってからいろいろな感染症を家に持って帰るようになって咳や熱が1ヶ月ごとに起きててしんどくてどうしようもないと相談に来ました。
お子さんをお持ちのお母さんや、お孫さんのいるおじいちゃんおばあちゃんはわかると思います。子供が大きくなって幼稚園や保育園に行くようになり、やれやれと思ったら、熱を出してすぐ帰ってくる。
園でインフルエンザだ、お休みだ。治ったと思って登園しだしたらまた別の風邪をもらってきてはお休みに。なんてことはよくあることです。
Aさんは専業主婦。スッキリしない体調で家事をし、子守をし、子供が熱を出したら看病をし、あげくに自分もうつって熱発を繰り返しています。
子供は大きくなればそんなに病気をもらってこなくなるものですが、どうもAさんは体調が悪いせいで軽い風邪でももらってしまうようです。そして体力がないのでひどくなってしまう。
鍼灸治療という選択肢
友人に鍼灸治療のことを聞き、当院を受診されました。
お話を伺ったところ、もともとは明るく活動的な方のようです。お子さんも活発で園に行くことが大好きなようす。過去にストレス性の病気をしましたがストレスを回避することで好転し、現在はありません。
数日前に寝違えをして右首が痛いので、その治療もしてほしいとのことでした。
身長156cm、体重47kg、血圧108/68mmHg。食欲は十分あり(食べ過ぎる傾向)、睡眠は8時間十分取れていますが朝はだるくて起きづらいとのこと。便秘傾向、生理不順で月経前症候群があります。
頚椎や頸部神経根などの徒手検査、理学検査に異常はなく、首の動作痛が前・後屈、左右屈曲で右首に痛みが出ます。圧痛は肩甲挙筋を中心に僧帽筋などの頸肩部に散在していました。
体表所見として、上腹部の冷感と胃内停水(振水音あり)が著明でした。
鍼灸治療に通ってみる
治療目的を
① 寝違いによる頸肩部痛
② 産後の体力低下と抵抗力の低下による倦怠感
の2つにしました。
東洋医学的には脾虚として、軽刺激で灸治療を中心に冷え取りと食欲の調節(食べすぎないように)を目指します。
右寝違いの痛みをまず取らないとつらいので、当初は連続して毎日治療することにしました。さいわい障害筋に炎症はなかったので鍼治療で対処することにし、それが落ち着いたら体力回復を目指して週1~2回の灸治療に切り替えると伝えました。
灸治療は太極療法という方法を取りました。
全身の15箇所のツボに小さなお灸を3つづつすえていきます。時間にして15分ほどで終わります。熱さは強くありません。気持ちが良いとおっしゃってました。
ちなみに元気になってくると、このお灸の熱さがイヤになるぐらい熱く感じます。面白いですね。
その後・・・
治療の経過です。
3日続けて治療して寝違いは治りました。
その後、家事労働で肩が凝れば、鍼治療を併用しつつ灸治療を継続しました。途中、風を引いて熱発したこともありましたが2ヶ月間で8回の治療を行い、体調が良くなりました。
起床時のだるさがなくなり、子供の風邪がうつらなくなり、どか食いをしなくなりました。元気が出てきたせいか、自宅でパソコンを使った仕事にチャレンジするようになりました。
その後2ヶ月間、2週間に1度程度の治療を続けましたが、まったく風邪を引かず(お子さんが引いているにも関わらず!!)、お灸が熱くなってきたこともあり(笑)治療を終了しました。
子供さんも治療してほしいと言っていましたが、連れてくる時間がないのでどうしたらよいかと相談を受けました。自宅でスプーンを使った小児鍼の仕方を教えてあげました。お子さんが風邪を引かなければお母さんにもうつらなくて済みます。
鍼灸はカラダの状態を良くするもの
今回のケースは、お子さんが風邪をひいていても元気だったらうつらない、という良い結果を短期間のうちに出せました。若い方だったこと、熱心に治療に通ってくれたこと、お灸を嫌がらなかったことなど、早く良くなる条件が揃っていました。
しかし、お灸はお年寄りのものという認識が一般的です。
それはどんどん老化していくお年寄りでもお灸で元気になれることを示しているものだと思います。老化は病気ではありませんが、進行性で、機能障害や痛みを伴います。
言うなれば治らないものです。治らないのであればなんとかして良い状態にしておけないか、楽に生活できるようにならないかを考える必要があります。
お灸はその一つの対策だと思います。
住所:金沢市松村1丁目36番地 マーヴェラス松村1F
電話:076-267-6989
http://www.ahk-concierge.com/ahk/shinkyu-nakada/