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コンシェルジュコラム
鍼灸なかだ治療院の症例報告 ケース⑧:産後の腰痛にはお灸が一番!(2)
おはようございます。金沢市松村1丁目の【鍼灸なかだ治療院】の中田 和宏です。
「鍼灸なかだ治療院の症例報告」というテーマで、コラムを連載しております。(今までのコラム↓)
前回に引き続き、今回は実際の症例をご紹介したいと思います。
ケース⑧:産後の腰痛にはお灸が一番!(2)
患者様:31歳 女性、主婦
主訴:左臀部痛
【現病歴】
20日前に第1子を出産後、2~3日して左のお尻が痛くなってきました。起き上がるときや寝返りする際が最も痛みます。立ち上がってしまえば歩くことはできますが、立ち上がる際に「ギクッ」っと痛みが来ます。けっこう激痛でしばらくは動くことができません。この20日間、痛みが軽くなったりすることはなく、授乳やオムツを替えるときに痛くてつらいとのことです。安静にしていると痛みはありませんが、ちょっと違和感があります。眠ってしまうと痛みはありませんが、夜間の授乳や赤ちゃんの鳴き声で目が覚めてからだを動かそうとすると大変痛いです。
【既往歴】
特にありません。
【家族歴】
特別なことはありません。
【身体所見】
身長165cm、体重53kg(妊娠中は60kg)、血圧113/76mmHg、脈拍70/分(整脈)
【生活状況】
食欲あり。一日3食キチンと食べます。睡眠は午後9時にお布団に入り、午前7時に起床します。その間3回授乳を行ないます。下痢や便秘はありません。
【腰痛の所見】
腰の運動をしてもらうと後屈と右側屈で左のお尻痛みが出ます。仰臥位にて股関節を動かしてもらうと、お尻の筋肉が動く際に痛みが出ます。仙腸関節に負荷をかけるテストをすると痛みが出ます。また、腰部椎間板ヘルニアなど神経の異常を疑う所見はありませんでした。両下肢に慢性的な冷えがありました。
【状態のまとめ】
出産後ということと、痛みの出ている場所や腰や股関節の動きから、仙腸関節性腰痛とそれに伴う中殿筋の筋肉痛を疑いました。
仙腸関節は骨盤を形作っている仙骨と腸骨のつなぎ目の関節をいいます。たくさんの靭帯で補強されていて、普段はガッチリつながってます。3~5mmというわずかな動きをしていて、体のバランスを取っています。肩の関節のようにぐるぐる回せるような関節ではありません。
妊娠すると赤ちゃんがおなかの中で大きくなるので、この仙腸関節も広がっていきます。妊娠中にリラキシンというホルモンが子宮を緩ませ、仙腸関節をつなぐ靭帯を緩ませることがわかっており、そのせいで腰痛や臀部痛が起こるのです。緩みをささえるためにお尻の筋肉が頑張り、筋肉痛を併発します。
【治療と方針】
鍼は筋肉の緊張を取ることが得意です。お灸は緩んだ筋肉を引き締める効果があります。両方を使って、凝ったところには鍼を、緩んだところにはお灸をしました。
左臀部の鍼は直径0.12mmのものを数本、3mmほどの深さで刺したままにして15分間休んでもらいます。お灸は台座灸というものを使いました。市販されているものではせんねん灸などの名称で知られています。これを仙腸関節のところに2ヶ所、火をつけて置き、熱くなったら取るということを2回繰り返しました。なるべく熱さを我慢してもらいました。
【経過】
初診の治療終了後、一番痛かったときを”10”として、後屈をしてもらったら治療後の痛みは”5”に減ってました。効果ありということで、ご自宅でお灸をしてもらうことにしました。2週間、3回の治療でほとんど痛みがなくなり終了しました。その間ご自宅で毎日お灸をしてもらいました。
【まとめ】
今回のお母さんのように、過去に腰痛の既往がなく、産後に起こった腰痛であれば早期の改善が見込めます。
妊娠前から続くのであれば、ほかの要因を考えなければいけません。そうなると治療期間がかかります。加えて赤ちゃんが大きくなれば抱っこやお世話で腰を酷使する機会も増え、腰痛はかんたんには治りません。
どんな病気もそうですが、早めの対処が近道です。周産期のお母さんは我慢せずにどんな症状でもお近くの鍼灸院に相談されるといいでしょう。治療中、赤ちゃんを見ていてくれる治療院もあります。それとご主人の協力が一番必要です。
住所:金沢市松村1丁目36番地 マーヴェラス松村1F
電話:076-267-6989
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