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コンシェルジュコラム
鍼灸なかだ治療院の症例報告 ケース⑩:偶然は必然?出会いは突然に
おはようございます。金沢市松村1丁目の【鍼灸なかだ治療院】の中田 和宏です。
「鍼灸なかだ治療院の症例報告」というテーマで、コラムを連載しております。(今までのコラム↓)
今回は”偶然は必然?出会いは突然に”というテーマで背中の痛みの症例をご紹介したいと思います。
ケース⑩:偶然は必然?出会いは突然に
研修会で勉強したことが今日来た患者さんの治療に役に立つってことはよくあることです。
先日の2月18日、公益社団法人全日本鍼灸学会中部支部指定B研修に、東京大学医学部附属病院リハビリテーション部鍼灸部門主任の粕谷大智先生が来県され、午前午後の4時間に渡り講義と実習をしてくださいました。
大変密度の濃い研修会となり、日頃勉強をサボっている?私の脳みそはオーバーヒート寸前でした。大変な情報量で新しい知見や研究成果などもご披露下さいました。
午前は腰痛、午後は頸腕痛のプログラムで2部構成でした。その午後のプログラムで研修をした鍼治療を実際に治療に使う場面が訪れました。
56歳、男性、会社員
主訴:右の背中の痛み
今朝起きて出勤しようと身支度を整えていたらなんだか背中が痛いと気がつきました。昨日まではなんともなく、そのうち治るだろうと仕事に行き、業務作業をしていたら、どんどん痛くなってきました。そこでいつも腰痛で治療をしている当院へ急遽いらっしゃいました。
どんなときに痛いか伺うと、椅子に腰掛けて背もたれに寄りかかろうとするとズキンと右の背中(肩背部)に痛みがあり、寄りかかってしまえば痛くありません。すごく不自由というわけではなく、その瞬間の痛みがうっとうしくて気になるとのことでした。
いつもの腰痛は落ち着いていて、痛みはないので、背中をなんとかしてほしいとお話してくださいました。
身体を見せてもらいました。首や肩関節の動きに問題ありません。動かして痛みは出ません。背中には炎症を疑わせるような腫れや熱はありません。ベッドに長座して両手をからだの後ろに置いて寄りかかる格好をする瞬間に痛みが出ます。腕に全部寄りかかれば痛くありません。
原因はわかりませんが、悪くしたのは菱形筋という肩甲骨を背骨に固定する筋肉です。この筋肉が頑張ることで腕がからだに固定されます。手先の作業、キーボードへの入力、お箸を使うなど、日常生活で常に頑張っている筋肉です。この筋肉に圧痛とコリが認められました。
そこで、先日の研修会で勉強した治療法を行ないました。
中斜角筋という首の横にある筋肉の隙間から背中に向かって走る肩甲背神経に刺激をするやり方で、背中の菱形筋の緊張を取ります。
神経に鍼を当てるのではなく(当てようと思っても神経は細くて当たりません)神経の周辺に鍼を刺入し、低周波鍼通電療法を行ないます。いわゆる電気ばりです。
上手に目的の筋肉に鍼が当たり、低周波刺激が入ると、緊張がほぐれ気持ちよくなります。中には寝てしまう人もいます。刺激が背中の筋肉に伝わって、収縮を起こし肩が振動します。1ヘルツの連続刺激、トントンという優しい刺激を15分間続けます。
治療後に痛みの出る動作をしてもらいました。
痛くありません。
最後に仕事中にできるかんたんな菱形筋のストレッチを教えて治療を終えました。
私は、鍼灸大学を出て30年ぐらい経ちます。さまざまな学会や研修会に出ました。たくさんの偉い先生のお話をお聞きしました。テレビに出るくらいの先生や世界的に有名な先生など。どれも素晴らしいお話で、治療に役に立つだけでなく、私の考え方を変えてくださったものもありました。
勉強が一生続くのが医療です。いろいろな団体の主催する生涯研修制度が実施され、学会の認定、私塾、新しい書籍、最近ではYouTube、いろいろな勉強の機会があります。そこには新しい出会いがあります。
ボケないうちにもっと勉強して、良い治療ができるよう頑張りますです、ハイ。
住所:金沢市松村1丁目36番地 マーヴェラス松村1F
電話:076-267-6989
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